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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第12章 指切り将軍

「………………」

「…っ、どうした」

「…騎兵師団の将官殿は、純情な方と見受けられる」

「馬鹿にするな」

「僕のカラダに興味はありませんか?」

「…っ…そういうコトはそういう店で いたす。部下であるお前をどうこうせずとも間に合っている!」

「…ではそういう場所で " いたした " ご経験はあるのですね。それを聞いて安心しました」

「お前ッッ…」

 若くして将官になったとはいえ、歳はもう三十になった筈──。反応があまりにアレなのでまさか免疫が無いのかと心配したが、本人いわくそうではないようだ。

 ただ噂によれば、いまだに妻をめとっていないらしい。

「お前はッ──…ハァ、…奴等が暴走するのも納得だな」

「…ええそうですね。僕は生意気なふしがあるので、不満を持った方々に襲われたのも順当でしょう」

「そうは言っていない。あのような淫行…っ、陛下をお守りする近衛兵としてあってはならん事だ」

「…………。(他の近衛兵に嫌われているのはこの清廉な性格のせいだな)」

「……どういう意味だその顔は」

「いえ、ただ…──。……いえ、とくに深い意味はありません」

 相手にその気が無いと知ると、シアンはさっさと渡された衣服を身に付け始めた。

“ こいつはもう元気そうだな… ”

 そうして片手で器用に長丈衣(エンターリ)をまとうシアンを無言で見守っていると

 部屋の外から部下が呼び掛けた。

「バヤジット・バシュ。宜しいですか」

「ああ、いま行く」

 部下に呼ばれたバヤジットは、シアンを部屋に残して外へ出た。





....パタン






「──…」








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