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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第13章 白い花


 ましてや、花なんて


「いつかこれで庭を真っ白に染めるんだ。オレと……父ちゃんの庭を、キレイなこいつでいっぱいにする」

「──…」

「それが俺の夢だよ?」

「…そう」


 シアンを覗き込みながら、まるで励ますかのように彼の問いに答えたオメル。

 目的……なのか。だがオメルのこれは明らかに " 夢 " と呼ぶに相応しい。

 目的と言うにはあまりにふわふわしているし、それに何より輝いていた。

 その輝きが眩しくて見ていられなかったのか、それとも単純に愛おしくてたまらなかったのか

 シアンは咄嗟にオメルを抱きしめていた。

「…っ…シアン?」

「……」

「どうした?」

「君のそれは…良い夢だね」

「そ、そうかな、……へへっ」

 立ち上がったシアンに片腕で肩を抱かれ、オメルは本を持ったまま照れて笑った。


....ギュッ


「あ……あんまりくっ付いたら……恥ずかしいンだけど」

「恥ずかしがってもいいよ」

「またそうやってからかってるだろ…//」

「からかってない、本気。……思わず君にキスしたくなってるくらい、本気だけど?」

「それちょっと…っ、ドキドキするからやめて…!?」

 お年ごろらしく赤くなってたじろぐオメルを、シアンは構わず腕の中に捕まえた。

 何故だろう

 守りたくて仕方がなかった。

 それがオメル自身なのか、彼の夢なのか、どちらだろうと大差ないが、壊れてくれるなとシアンは願った。








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