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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第17章 ハンマームにて(前)

「よし、そこへ座れ」

 背後からバヤジットが二人に " 指示 " を出す。

「はい!」

「…はい」

 オメルは情景反射なのか一度その場で直立した後、…そうではなかったと冷静になって座椅子にペタンと腰を下ろした。姿勢がいい。

 シアンも隣に座ると

 二人を奥側に配置したこの上官は、他の客から隠すように自らも横に並んだ。

「オレはこのへんが丁度いいや真ん中は暑くて焼ける」

「んー、確かに初めは低い温度から慣らしたほうがいいね」

「……」

「これってどのくらい座っとくもん?」

「人によりけりだよ。我慢できなくなったらあそこに休憩用の場所があるし、水も飲める」

「……」

「オレすでに我慢できなくなってるけど…。でもこれ、頑張ったほうがいいんだよな?」

「無理しても意味ないけれど、身体の芯を温めることは疲労回復に繋がる。肌も綺麗になるよ」

「…………」

「キレイになるのか?シアンみたいに?」

「ん、まぁ、なれるかもね」

「…………………」




「あの、バヤジット・バシュ?」

 しばらくオメルとの二人きりの会話をかわした後で、いよいよ放っておけなくなったシアンがバヤジットに声をかけた。



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