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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第20章 冷たい手枷

 バヤジットの手が、シアンの左腕を掴む。

 丸い肘当ての下…黒い布を巻き付けただけのツクリ物の腕だ。

 その腕を頭上に持ち上げられる。

 壁に打ち付けられた鉄杭がそこにあり、それから垂れた手枷に繋ぎ止められた。


「バヤジッ…ッ…!?」


 義手であるから感じる筈がないのに

 何故か、繋がれた手枷から金属の冷たさを錯覚する。


「…何のつもりでしょうか…!?…これ は」

「…俺を侮るな」

「…っ」


 違う

 この場の空気、全てが冷たい


「俺があの場に行った時っ…シアン、お前はタラン侍従長に言っただろう…

 『 また後日、お会いしましょう 』
 『 その時は願いを聞きいれて頂く 』

 ──…俺の耳は逃さなかったぞ」


「──…!」


「お前は侍従長とどういう関係だ?あの場でいったいお前達は何をしていた!!」


 反対の腕も同じように捕らえられ、頭上の鉄枷に繋がれる。

 シアンは両手を上げた体勢で、石の壁に拘束された。



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