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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第20章 冷たい手枷
「どうして何も言わない……」
「…カハッ!‥ハァ、‥…ッ‥」
「お前はタラン侍従長と通じていたのか?奴と画策して俺に近付いたのか?違うだろう?違うとっ…俺に証明しろ…!!」
「ハァ‥ッ‥…ハァ‥‥‥」
「俺にお前を疑わせるな!」
バヤジットが声を張り上げた。その声音も苦しそうだ。
「俺はお前の事を何も知らん…!!」
「……」
「過去のお前を知る手立てはない。だが!俺はお前を信用していた。ウッダ村に行った…あの短い時間の中で、シアン、お前は敵ではないと信頼した。なのにこの裏切りはなんだ?」
バヤジットにとって、いや、この国と陛下にとって…タラン侍従長は危険な男だ。
他の誰かであればまだ良かった。
自分がシアンに利用されていたとして、そんな事はどうでもいいのだ。
だがもし、それが陛下の安全を脅かすような隠し事であるなら絶対に許さない。
“ シアンっ…、頼む、否定しろ…!! ”
絶対に……見逃せない。
「──…」
目の前で葛藤するバヤジットを見たシアンは
「──‥‥ク」
その的外れな態度に、思わず喉の奥が疼いた。
「‥‥‥裏切る も、なにも無い」
「…ッ…!?」
「僕は…貴方の味方になったつもりは一度とてありませんよ」
「なんだと?」
「同じ敵を持っただけで、横に並ぶ僕を信用するとはおめでたいです ね……バヤジット様」
乱れた髪の隙間から霞んだ瞳をのぞかせ、口の端を吊り上げ嘲笑う。
この男の──キレイな希望を砕いてやろうか
シアンは切れた唇を、挑発的にひと舐めした。