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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第20章 冷たい手枷
「宿舎の厨房にいるところをバヤジット様に見つかりました。盗み食いをしていると勘違いをなさったようです」
「厨房?…ああ、いつもの酒を作っていたのか」
「はい」
「くくっ…それは災難だったなぁ」
平気な顔で嘘をつくシアンを、信じられないという顔でバヤジットが見下ろす。
だが本当の事を言えない以上、嘘をつくなと怒鳴れない。悔しいが…シアンのでまかせに乗るしかない。
「そういう事なら尋問を代わろう。出ていくがよいバヤジット」
「──!? いえ俺が尋問を続けます!」
「貴様ごときがしゃしゃり出るな」
ピシャリとバヤジットを制したスレマンは、彼を押し退けてシアンの前に立った。
「この者は今、我が槍兵師団の預かるところとなっておる。貴様の部下ではない」
「ですがシアンはっ…!!」
「さっさと譲(ゆず)れ」
「……!!」
ニタニタと嫌な笑みを浮かべるスレマンに苛立つ。
さらに項垂れたシアンはこちらを一向に見ようとせず、その態度にも怒りが込み上げた。
「……さて」
スレマンが、嫌にゆっくりとシアンに顔を向ける。
繋がれた両手から…足先まで、上から下を舐めるように見る男の目は嗜虐的な輝きを放っていた。
シアンは大人しくその視線を受け入れる。
「貴様……ああそうかそうか、宿舎の厨房で盗みを働いた……だったか?」
「……」
シアンに向けて伸びた手が、肩の留め具を外して捨てた。
防寒用の皮衣が足元に落ちいつもの隊服姿となる。
だがスレマンの手は止まらず、肩布を剥ぎ取り…腰当てを落とし…胴体に巻かれたクシャックをほどいて引き抜いた。