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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第20章 冷たい手枷
「…ッ…シアン、お前…!!」
こんなのは尋問でも何でもない。
止めさせるべきだ。
スレマンがシアンに侮辱の言葉を投げるたび、憤慨していたのは他でもないバヤジットのほうだった。
今だって…殴りかかり、奴をシアンから引き剥がしたい衝動を必死に堪えている。
“ お前はどうして笑っていられる……!? ”
なのに、シアンは今も笑っている。
苦しげに悶えるその目が嘲笑う相手はバヤジットなのか、彼を責め立てるスレマンなのか。
淫らに喘ぐ姿に取り憑かれているのはスレマンなのか、それとも、バヤジットも同類なのか……。
「…………やめろ」
バヤジットはたまらず腰の刀を強く握った。そうしていなければ正気を保っていられない。
怒りとともに欲情が沸き立つ。
許されない感情だとわかっていても、喘ぎ鳴くシアンの声がバヤジットの本能に爪を立てて引きずり出すのだ。
「ハァっ……ハァっ……!くそっ……!」
認めまいと抗えば、睨むような視線をシアンに返してしまう。
「シアン…やめるんだ…!!」
「‥ッ//──ぁぁ、……バシュ‥!!」
「く…ッ」
いっそこの場から逃げ出したかった。
シアンのこの姿を見ていたくなかったし、この声を聞きたくもない。
「──…っ、もうやめてくれ!」
シアンから目をそらしたバヤジットは、かぶりを振って喉奥から叫んだ。