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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第3章 入隊の遊戯


 シアンは右の親指を口元に運び


「──…」


 その赤色を拭う──否、塗り広げている。

 さらにそれを片目の目尻にも同様に塗り付けていた。

 紅(べに)でも隠し持っていたのだろうか?

“ 違う紅ではない。あれは……血? ”

 男は感動に似た思いでうち震えた。

 こちらがストリップに目を引かれている間に、この青年は自らの唇を噛み切り、滲み出た血を口紅代わりに使ったのだ。

 正気とは思えない。

 だがシアンは痛みなど微塵も感じさせない笑顔のまま、小首を傾げて目の前で立ち止まる。

「僕の顔……ナニか、可笑しなところがありますか?」

「…っ…い、いや、問題ない。続けろ」

「ふふ……」

 シアンは片膝を椅子にかけると、足を広げて座る男に擦り寄った。

 下からすくい上げるような角度で相手を見上げる。

 このまま唇を重ねるつもりかという近さまで迫っておいて…触れることはせず、震える吐息を零すのだった。

 そして相手から視線をそらさずに、その衣服に手をかけた。

 絹地でできた長丈のカフタンに掌を添わせ、片手で器用にボタンを外していく。外す過程で…衣越しに男の腹部を撫で

 ボタンを外すと、内側に手を滑り込ませる。

 男は至近距離で見上げてくる端正な顔に圧倒されながら、自らの猛りに触れられて身体を強張らせた。

 腰に巻かれた下着の上で
 細い指が行ったり来たり……

「……ッ」

 男は僅かに怯みつつも、それを悟られぬようにシアンを挑発した。

「それで…次はどうする気だ…?この程度のたわむれであれば、無知な生娘でもできるであろうよ」

「…そうでしょうか」

「ぅ…ッ」

 むくむくと下着の奥で反応するソレの先端に、シアンの指が狙いを定める。

 鎌首をもたげた一本の指が、爪を立てて細かく動いた。


カリ カリ カリ....


「ぐ…!!」

「……」


 たまらず下腹部に力をいれると、シアンは紅く染まった唇で緩やかに弧を描く。

 生意気な顔だが、それにも増して溢れる色気が堪らない…。男は自身の男根がさらに硬くなるのを感じた。



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