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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第24章 明かされる正体

 すでに開封されているそれから、中身を取り出す。

《 ──して、シアンと名乗る此の者を、近衛隊騎兵師団へ推薦するものとする 》

 バヤジットは暗い室内で文面に目を通し、それがシアンへ送られた近衛隊への推薦状だと知った。

 しかし、変だ。

 この推薦状には送り主の貴族の名が無い。他の紙があるのかと探したが、はいっていたのはこの一枚のみ。

「──…?」

 納得できず、しばらく黙って見ていたが

 ふとバヤジットは──…書状の下端に、僅かな焦げ痕を見つけた。

 角が黒くなって焼き切れている。

「燃えたのか?──ッ、いや違うな、この臭い…!!」

 スンと紙を嗅いだバヤジットが、手筒に隠されたある秘密に気付いた。


 焼けたのではなく
 焼いたのだ、と。


「まさか……」


 そうとわかると、すぐさまバヤジットは部屋から廊下へ飛び出した。

 そして、廊下の壁にかけられた燭台へ紙を近付ける。

 見守るオメルは彼がソレを燃やすつもりなのかと思ったが……それとも違う

 バヤジットは招待状の紙を炙っているのだ。


ジジジ...


 すると、数度の炎の揺らめきの後、文面に変化が現れる──

「………え、なんで、字が?」

「この紙は特別な薬品にひたされている。炙り出しの文字が刻まれた密書だ」

 全ての隠し文字が現れた頃合いで、バヤジットは改めてその密書に目を通した。





「な、なんて書いてるんだ?」


「──…!!」


「バヤジットさま…!?」


「…ッッ」


「あ!待ってバヤジットさま!どこ行くんだよ!」









───




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