この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第24章 明かされる正体
すでに開封されているそれから、中身を取り出す。
《 ──して、シアンと名乗る此の者を、近衛隊騎兵師団へ推薦するものとする 》
バヤジットは暗い室内で文面に目を通し、それがシアンへ送られた近衛隊への推薦状だと知った。
しかし、変だ。
この推薦状には送り主の貴族の名が無い。他の紙があるのかと探したが、はいっていたのはこの一枚のみ。
「──…?」
納得できず、しばらく黙って見ていたが
ふとバヤジットは──…書状の下端に、僅かな焦げ痕を見つけた。
角が黒くなって焼き切れている。
「燃えたのか?──ッ、いや違うな、この臭い…!!」
スンと紙を嗅いだバヤジットが、手筒に隠されたある秘密に気付いた。
焼けたのではなく
焼いたのだ、と。
「まさか……」
そうとわかると、すぐさまバヤジットは部屋から廊下へ飛び出した。
そして、廊下の壁にかけられた燭台へ紙を近付ける。
見守るオメルは彼がソレを燃やすつもりなのかと思ったが……それとも違う
バヤジットは招待状の紙を炙っているのだ。
ジジジ...
すると、数度の炎の揺らめきの後、文面に変化が現れる──
「………え、なんで、字が?」
「この紙は特別な薬品にひたされている。炙り出しの文字が刻まれた密書だ」
全ての隠し文字が現れた頃合いで、バヤジットは改めてその密書に目を通した。
「な、なんて書いてるんだ?」
「──…!!」
「バヤジットさま…!?」
「…ッッ」
「あ!待ってバヤジットさま!どこ行くんだよ!」
───