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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第24章 明かされる正体
《 そして 》
《 罠にかけられ逃亡した汝から
" 王族の証 " たる指を切り取り
その功績として卑しくも近衛隊将官の座に居座った
──ジフリル・バヤジット・バシュ 》
《 私は、これら汝を貶めた者共の敵である。
──…汝、復讐を望むなら
此処王都に返り咲き
王宮の中枢、水の社まで来られたし 》
「スレマン・バシュ!!」
息を整える間もなく呼びかけ続け、本当に戸を破ろうかとバヤジットが思った時──
ギィ……───
重たい扉が開かれた。
「──ッ…おま…え…」
「日も暮れたといいますに……貴方はいつも豪快ですね」
ゆっくりと、開けられた戸から顔を出す。
そこに現れた美しい眼(まなこ)を──…これほど恐ろしく感じた事は未だかつてなかった。
「シアン……!!」
裸も同然の姿のシアンが恍惚とした顔で見上げたのは、まるで亡霊でも前にしているかのように狼狽えるバヤジット。
シアンは目をそらさずに笑みを浮かべ
屈強な男が冷や汗を浮かべて自身に怯える様(さま)を……
「……」
じっと見据える。
……
「…どお、した………何をしてぇる?シアン」
その時、呂律(ろれつ)の回らない粗雑な声が、部屋の奥からシアンを呼んだ。