この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第25章 甘い毒

「…何をしに来た」

 早朝の議会にて王宮警備兵に任命されたシアンは、その足でバヤジットの邸宅に赴いた。

「忘れ物を引き取りに伺いました」

 待ち構えていたバヤジットと相対するも、今のシアンは堂々と振る舞う。

 バヤジットの部下という立場から飛び出した彼は、もはやバヤジットの権限で追い出すことができないのだから。

「…動揺していますね」

「……っ」

「あの日──貴方がスレマン様の執務室に乗り込んで来た時も、そのような目で僕を見ていた」

 シアンは以前彼が寝泊まりしていた部屋に行き、寝台の上にほうった荷を手に取った。

 少ない持ち物が入ったそれの中を確認するために、袋の口を開く。


「──…?」


 アレ が無くなっている

 気のせいか……?


「探し物は……コレだろうな」

「その紙は──…、そう、か。貴方はそれを読まれたのですね」

 荷をのぞくシアンにバヤジットが差し出したのは、ぐしゃぐしゃに握りつぶされた痕跡の残る紙切れだった。

「フ……それで、その目か」

「……っ」

「貴方が怯える理由を把握しました」

 その紙切れが例の推薦状であると理解したシアンは、差し出すバヤジットの目を見つめて笑う。

 紙を持つ手に視線を落とせば、大きく男らしい手の、指の先が震えていた。

「僕に返してくれるのですか?その推薦状はすでに役目を終えた物ですし、貴方に差し上げますよ」

 シアンはそれを受け取らず、荷袋だけ抱えて立ち去ろうとする。

「待て!シア──ッ」

「…なにか?」

「……っ、コレは、ここに記された事が偽りで無いならっ…あ、" 貴方は " ……!!」

 自分から彼を呼び止めるくせに、言葉を詰まらせるのもまた…バヤジットのほうだった。

「バヤジット様」

 そんなバヤジットがおかしなコトを口走るより先に、シアンの声が念を押す──。


/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ