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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第27章 散花無惨 (チルハナ ムザン)
「さらにだ、執務室に置かれた酒器を調べたところ酒にも阿芙蓉が混入していたそうだぞ?貴様が持ち込んだ酒だろう!? それをスレマン様に飲ませたのだな!?」
「……!!」
もしこの男の話が真実なら、シアンではない何者かが……酒に阿芙蓉を入れたのだ。
スレマンを殺す為ではなく、シアンを陥れる為
その " 誰か " がシアンを罠にかけたのだ。
「‥…僕を罠に……ッ‥…何故」
シアンの内側を気味の悪い感覚がめぐっていく。
「…ッ‥いったい誰が…‥」
さまざまな人間の顔面が交錯し、脳裏にへばり付く。それ等は決まってシアンを騙し、引きずり下ろさんとする穢い顔に変わって、彼を追いつめてゆく。
「誰が、僕を‥…・!?」
この感覚はシアンにとって初めてでは無い
だからこれほど強烈に彼は怖気(おぞけ)立つのだ。
やめてくれ……!
いったい誰だ
僕を貶めんとするこの影は
お前は誰なんだ
僕はもう解放された
解放された、筈なのに
「…よぉし、なぶり殺される覚悟はできたか?」
「…‥ふざ‥けるな…‥ダレだ‥…‥コレを仕組ん だのは‥…!」
「…チ。まずはそのお綺麗な顔から切り裂いてやろう」
シアンを掴む男が、逆の手を仲間に向けて差し出す。笑ったもうひとりが腰の湾曲刀を男に手渡した。
「覚悟しろ」
ギラりと冷たい刃が自身に向けられる
「ク‥‥‥ッ」
やはりこの切っ先も──シアンにとって初めてでは無いのだ。
──
「──…オレだよ!!」