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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第27章 散花無惨 (チルハナ ムザン)
その直後、貯蔵庫の入口から──滑り落ちるようにはいってきた何者かが、張り裂けそうな声で叫んだ。
「──な!?」
「誰だそこにいるのは!」
「…っ…何者だ貴様!」
シアンをいたぶる三人の男が慌てて振りかえる。
「オレがやりました!」
「‥…ハァッ─…‥‥ハァッ‥…まさ‥‥か」
その声は、影に囚われようとしたシアンの頭を横から殴り付けるような…──からだ全体で抱きついてくるような無鉄砲さで響きわたる。
「オレがスレマンさまの酒に薬をいれました!!…ッ…オレがやったんだ…──だからっ…
だからシアンを傷つけるなよ馬鹿やろおお!!」
丸みをおびた目元から大粒の涙を流して──
「…‥…どう して‥…君が」
オメルが立っている。
床に倒れるシアンは霞む視界で、自身を殺さんとする刃の向こうに、泣き叫ぶオメルの姿を目の当たりにした。