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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第34章 崩壊
「昨夜の爆発はやはり地下でのものでした。原因は火槍(シャルク・パト)で、まず間違いございません」
「…どこまで確かめた?」
「水の社(やしろ)からのルートは完全に崩れておりましたので…別の…」
「…っ…まさか王宮の隠し通路は使っていないであろうな」
「も、勿論です!南の神殿跡から地下におりました。ただ…爆発で火の手があがったようで、奥は煙が充満し近付けません。平民達の姿がないため奥で息絶えている可能性もありますが…っ」
「わかった。それで " 例の処理 " は終えたのか?」
「少し前に別の者が完了させました。これで地下の調査は不可能です」
" 例の処理 " という意味深なやり取りを終え、タランは門戸を開けるようにと所作で示した。
「ならば次は、逃げた平民を探し出せ。見つけた場合は…適切に、処分だ」
「かしこまりました」
指示を聞いた王宮警備兵が、持ち場である公爵邸を離れる。
タランは門をくぐり抜けた。
“ 面倒な事態になった…… “
昨夜におこった地下での暴発は、何がきっかけだったのか、その確証はまだ何も無い。
火種の管理は徹底していた……。その為に、リスク承知で、目の届く場所を密造所に選んだというのに。
もちろん万一の事態にそなえ、自らの関与に繋がるような物証は残さないようしているが、作業手である平民が逃げ出したのなら想定外だ。
地震でないことはすぐに気付かれるだろう。
「タラン侍従長殿!」
「……」
突然、ひとりとなったタランのもとへ声がかかった。