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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第1章 王弟が散った日
『 誓えるか? 』
『 もちろんです。
僕は兄さまを愛しておりますから 』
『 そうか…… 』
あの日の言葉にウソも偽りもなかった。
樹上で笑った兄さまの穏やかな顔も、ツクリ物なんかじゃなかった。
広い王宮のどこであろうと後を付いて回る僕と、そんな僕の面倒を見てくれる優しい兄さま──。
歳の離れた、たったひとりの兄弟。
兄さま
兄さま
兄上
──…
「……あに……うえ…………」
あの思い出からどれだけの年月が経ったのだろうか。よくわからない。
でもきっと……ずっとずっと昔の光景なのだろう。
何故なら今の兄上は、何をしてもどんな言葉をかけようとも、僕に笑いかけてはくれないからだ。
優しかった 兄さま はどこかへ消えてしまわれた。
今の兄上はただ僕を憎み……そして、殺そうとしている。