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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第37章 痛みを映す鏡
「ハッ……ん、んん‥!!」
バヤジットの口淫は、呼吸さえ許さないような荒々しさでシアンを支配する。性技もクソも無い──受け止めるだけでぎりぎりだ。
「…ン‥‥ッ‥//‥…ァッ‥‥‥は‥‥!?」
それは王都の地下通路でバヤジットがシアンに返した口付けと同じだった。けれど意識朦朧(もうろう)としていたシアンにはその時の記憶がなかった。
こんなに……熱くて
重たい……口付けは
シアンにとって、生まれて初めて与えられたもの。
「ん‥ん…!!‥‥ぁ、‥‥‥ッッ」
「はぁ、はぁ、シアン、俺……は……!」
呼吸のやり方がわからなくなる。
激しすぎる口付けのせいで、徐々に瞼が下りていく。
そんな彼の様子に気付かず、不器用な想いの丈(たけ)をぶつけるバヤジットは、熱い声でシアンを呼んだ。
「シアン…!シ アン…!」
「‥‥…ン‥//‥‥んん‥!!」
「俺は──…お前に惚れたんだ…!
……シアン……!」
「──…!!」
臣下としてではない
上官としてではない
ひとりの男として…バヤジットは、彼への想いを誤魔化せられない状態にいるのだ。