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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第42章 空虚なる交錯




 何故、ここまで傷付けてしまったのだろう




《 約束です 》




 いつの自分を正せば
 あの日の約束を果たせたというのか




《 この先何が起ころうと……

 僕は兄さまのそばを離れません 》




 離れたくなどなかった筈だ




《 この国の君主となられる貴方をいつまでも

 …いつまでも支え続けると、約束します 》




 疑いたくなどなかった




 記憶の中の顔は、いつも此方を真っ直ぐと…ただひたむきに見つめていたのに





《 僕は、兄さまを、愛しておりますから 》





 これほど愛した存在は、この広大な砂漠の地の……何処を探そうと見つかりはしないのに












「………っ」


 眉間を寄せて瞼を下ろしたアシュラフは

 数秒の後、長い睫毛を震わせて目を開けた。

 強く歯を喰いしばり、そしてシアンの後孔へ再び自身を突き挿れる。

 それだけでは足りない──。さらに繋がりを深くするため、絡んでくるシアンの脚を持ち上げて肩に担いだ。

「あ‥!!」

 重たく突き刺され、刺激が背筋から脳天へと一気に駆け上がる。

 身体中が痙攣するように引き攣り、シアンはまた絶頂の波間に囚われた。

「‥ああっ‥‥ああっ‥‥あ」

 喘ぎすぎて枯れた喉が、待ちわびた瞬間に歓喜する。

 やっと繋がれた悦びで満たされた。

 熱を持った塊に押し広げられ、慣らされて、カタチを覚えさせられ、そこで相手を愛撫する──そうするように自分の身体を作り替えた相手がこの男(ひと)であったならば、もっと幸せだったかもしれないと、今さら叶わない願望がシアンの脳裏にチラつく。

 今さら……

 今さらすぎる

 男娼としてのこれまでの生き方を、悔やむ気持ちがあるなんて。

 だがそんな後悔も一瞬で、すぐにシアンは与えられる快楽と痛みに、陶酔した。


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