この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第43章 誓い

「わかったか?」

「かしこまり、ました…」

 見つめ合う二人。

 赤らんだ顔の輪郭をなぞるようにアシュラフの指が動く。

 ごく自然と、二人の唇が再び重ねられようとした時──

 窓の外でひときわ大きく鳥が鳴いた。伝令の猛禽(もうきん)が飛んできたのだろう。

「ぁ……」

 そのお陰で我に返ったシアン達は、互いにそっと顔をそらした。



「……それを渡せ。前は俺が拭く」

「は、はい」

 身体を拭く布を受け取ってアシュラフが立ち上がった。

 シアンは器から別の布をとり、こちらに向けられた王の背をぬぐう。

 それから無言の時間が続いたけれど、それは穏やかな沈黙だった。

 最後に、前開きの衣服をアシュラフの肩にかける。

 胸元があいたゆったりとした服を腰紐で固定し、身支度を終えた。


チャプ...


 湯をためた器を右手に持ち、シアンがその場を離れる。


「…何処へ行く?」

「外で待つ侍従に渡すだけです。私は陛下の護衛ですから部屋を離れることは致しません」

「そうか……ふっ、お前も息が詰まるな」

「どういう意味でしょうか?」

「四六時中、俺と同じ空間で、疲れるだろうと言っている」

「……?」

 呼び止められたシアンは、一瞬、わけがわからずきょとんとした。

 それから大真面目な顔で答えていた。

「──…陛下。かつて賤人(せんにん)であった私は……何をしようが、生きようが死のうが、そのすべてが己の自由でありました。つまり私が今ここにいるのは他ならぬ自分自身の選択です」

 スルタン・アシュラフは、嘘のない声でそう告げるシアンをまじまじと見る。

「…であれば、自由であったお前を王宮へ呼び寄せたものは何だ?」

「それは……」

「目的があったのだろう」

「勿論です、陛下」

 続く問答にも、シアンは即答だった。



「私の目的は、遠き昔の誓いを果たすこと」


「……」


「大切な人へ誓った──…大切な、約束です」




/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ