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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第43章 誓い
“ 事態を変えられるのは国王陛下しかありえない。なんとか皆の前に姿を出し、混乱を鎮めていただくしか ”
バヤジットが向かったのはスルタン・アシュラフのいる寝所だった。
議会を待たず対処を進める為にも
兵士の士気を上げる為にも
混乱する民たちを諌める為にも
この国で最も高貴な御方に、指揮をとっていただくしかない。
水の社(やしろ)を横切り、廻廊を抜け──
目的の寝所の扉が開いているのを見たバヤジットは、そこへ駆けつけた。
「陛下!事態はお聞きになりましたか!?
帝国の侵略に対抗するには……───」
「──…」
「陛下の……御言葉で……混乱している者達を……
…っ…こ、これは?」
──しかし、バヤジットが駆け付けた先には、異様な光景が広がっていた。
「…………!?」
外の騒乱が嘘かのように、重苦しい沈黙に満ちた部屋で……
血溜まりの中心で抱き合い、床に座る二人。
すぐ横に投げ捨てられた刀。
「陛下…!? 陛下…!? その血は…怪我はなんだ……!?そこにいるのは……シアン、なのか……!?」
こちらに背を向けるひとりは、シアン・ベイオルク。
そしてシアンの肩に頭を預けぐったりと動く気配がないのは……まぎれもない、この国の王だ。