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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第45章 Epilogue──春待つ砂丘の花々よ
青年がそうすると、周りの騎馬隊もいっせいにラクダを降りる。
「こ、国王様…??」
「…私にそれを読ませてくれないか?」
「そ、そんな、国王様の目にいれるものでは…」
「構わない」
「‥‥!?」
恐れ多さに固まっている男の手から、彼は丁寧に手筒(てがみ)を受け取った。
何度も涙をすったとわかる、よれてシワのよった汚い羊皮紙──。
折りたたまれたそれをゆっくりと広げると
懐かしい文字が…彼の目に飛び込んだ。
《 父ちゃん 》
《 前の手紙でいろいろ書いたけど、やっと、ひとつだけ決まった。オレはさ 》
《 オレの夢を、シアンにあげようと思うんだ 》
《 父ちゃんはたぶん怒るけど、オレはこれが、いい考えだって、信じてる 》
《 シアンはなんでもできる すごいやつだけど 》
《 …でもさみしがり屋だ。だからなんか、心配なんだ 》
《 オレはバカだから、シアンを守ってあげられないし、たくさん助けてもらったのに、何も助けてあげられないし、金とか、めずらしいもんとか、何も持ってなくて 》
《 でも夢ならあげれる 》
《 もしいつか、シアンがひとりぼっちになってもさ 》
《 キレイな花に囲まれたら
……少しは、寂しくなくなるだろ? 》
《 いいよね、それ 》
《 楽しみだね 》
《 だから、そうするね 》
《 ごめんね、父ちゃん 》