この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第6章 片腕の兵士

「シアン!ここにいたのか─…あっ」

 そんな食堂にひっそりと紛れていたシアンの背後から、軽快な声でオメルが話しかけた。

 その声に反応して数人が二人に注目し、それに気付いたオメルは慌てて声を潜めた。

「ごめん大声だして…」

「大丈夫。おはよう」

「ええ?シアンはそれだけしか食べないのか?」

 注意を引く前に食堂から出ようとしたシアンだが、その器の中を見たオメルは驚いて引き止めた。

「そんなのじゃ足りないだろ!訓練中に倒れるぞ?」

「…っ…いや…別に」

 シアンが右手に持つ器にはオリーブの実が三つと、チーズがひと欠片、空いたところにブドウの実がいくつか散らばっているだけ。

「あいつ等に邪魔されたか?くっそーシアンにまでー」

 何を勘違いしたのかオメルは急に悪態をつく。

 シアンは落ち着けと彼をなだめた。誰かに邪魔をされたのではない。

「僕はこれでいいんだ。もともと小食だから」

「いやダメだ元気でないぞ」

「駄目?駄目とかそういう話ではなくて……」

「いやダメだ元気でないぞ」

「…………二回言ったね」

「待っといてオレが取ってくるから!」

「???」

 シアンの話を聞かずオメルが厨房へ引き返す。ピタを取ろうと男達の間に割り入っていった。

 …だがすぐに、横の兵士に突き飛ばされて小柄なオメルは倒れた。

 突き飛ばした男は泥棒野郎とオメルに罵声を浴びせ、お前は最後の残飯をさらうのが仕事だと笑っていた。

 厨房で働く使用人は見てみぬふりをしている。

「ひとつくらい…っ」

「向こうへ行っていろ!」

 周りの隊員も同じ態度だ。何度も床に転がされるオメルを遠くで眺めながら、シアンは手にしたブドウの実を口の中に入れていた。




──





/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ