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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第1章 王弟が散った日

「バヤジット…お前は兄上を護衛する立場だろう」

「そ、その通りです」

「では何故ここにいる?砂漠オオカミの警備なら不要な季節だ。この気候で砂漠を越えようとする者などいないからな…」

 歳に合わず大人びた口調。それは、声変わり前の幼い声のせいで、どこか痛々しく強調された。


「言え──…
 お前は何用で此処に在る」

「……っ」

「誰の命令で此処へ来た?」

「それは…。侍従長殿の指示、で御座います」

「…そうか、兄上の寝所から逃げた僕を、捕らえに来たというわけか」

 少年を捕らえに来たのはひとりではない。砂丘の向こう──姿は見えないが、無数のラクダが駆ける音が聞こえるからだ。



 ……侍従長の差金か



「……それで、兄上はなんと仰った?」

「陛下は…っ」

「……」

「……。殿下の処分について、侍従長殿に一任なさると」

「……そう、か」

 口の端で、少年は微かに笑ってみせた。

「兄上の暗殺を目論んだ愚か者なんて…、どうなっても構わないのだろうな」

「…!? では、侍従長殿の話は真実なのですか!? まさか本当に陛下を…」

「黙れ」

「…っ」

「その真偽を決めるのは王宮の裁判院だ。そしてそこには…僕の言葉に耳をかす者はいない…」

 少年にとって王宮とはそういう場所であった。

 誰も彼を救おうとはしない。

 このまま連れ帰られ裁判が始まれば、満場一致で死罪が決まる。

 否定も謝罪も…すべて無駄と知れている。

 唯一の味方であった先王が他界したあの日、少年の運命は決まっていたのだ。

「お前は何も…考えるな…バヤジット。僕を連れ帰れと命じられたのだろう」

「っ…!私は…その」

「違う、のか?」

「いや、こ、これは…」

「フっ…なら命令の内容はこうか

『見つけしだい殺してこい。
  砂漠オオカミの餌に変えてやれ』

 ……なん て」

「……!」

「はは…、なんだ案外 図星なのか?」

 男が、隊服の腰にさげた湾曲刀に手をかけると、少年はその些細な動きを見逃さず、先手をうって嘲笑う。

 奴らの企みには気付いているのだ。

 今から男がしようとしている行為にも、あらかた予想が付いている。

 気付いている。けれど結局──逃げ出す力は残っていない。




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