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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第7章 餌はしたたかに振る舞う
「…もうっ…モグモグモグモグ…
からかうの…ッ……やめろ、よな……モグモグ」
照れて怒って肉を頬張って、忙しない。
動揺するオメルを放って、シアンは新しいピタにカイマックと塩漬け肉をのせている。
オメルが次に食べるぶんだ。
「…ッ シアンは?シアンも食べろよ!」
自分はいっこうに食べようとしない彼に対して、ヤケクソ気味にオメルが聞いた。
「僕はいらない」
「なんで!…モグ…」
「今朝も言ったようにもともと小食なんだ。いつでも客を取れるように、常に腹を空っぽにしておくのが癖付いてね」
「…ふうん?(モグモグ)」
到底意味を理解していない表情で、相槌(あいづち)をうつオメルだった。
「シアンっ、次の食べるぞ?」
「いいよ」
「もぐっ…ん、ん
……ん~~、やっぱうま…!」
「ほらまた、クリーム。……舐めるよ?」
「──ッ ぶふ!な、舐めなくていいからな!?」
誰に盗られる訳でもないのに、落ち着きなくピタを頬張るオメル。
そんな食べ方だと喉につまらせると忠告しようとした矢先に──案の定そうなった彼は、赤い顔で頬を膨らませて、胸を叩いて苦しんでいた。
シアンは作り物の左手で、彼の背中をさすってやった。
「水を飲まないとね」
──
「シ、シアン、やっぱりやめとこう…」
「ここまで来てそれ言う?」
それから少し後のこと──
彼等は食堂へ戻ってきていた。