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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第10章 狂宴
「剣術……などと、だいそれたものではありませんが、僕のような賤人が生き残るに必要な術(すべ)ですから、独学である程度は身に付けました」
「そうか。戦も反乱も無いキサラジャにおいて、実践を知らぬ部下たちに、貴様ら賤人が勝るのも不思議ではないな」
「……。実践が無いのはよいことです」
行く先を聞くタイミングを逃したまま宿舎に入り、窓の無い廊下を進む。
「ぬるま湯につかり堕落した部下どもも情けないが…
それよりも嫌悪を抱く者が、兵団にはいる」
「──…」
「そのぬるま湯を求め、穢らわしい手段で次から次へと侵入してくるネズミどもだ」
「…………なる、ほど
──…それは仰るとおり、不快ですね」
シアンの足が止まる。
「止まるな。誰が止まって良いと許可をした?」
「……」
「さっさと進め」
進めと言われて示されたのは食堂の扉だ。
隙間から聞こえる音は大勢の話し声、笑い声……
それと、彼がよく知る声が、戸の内側で叫んでいる。
泣いている……。泣きながら叫んでいる。
「さっさと中へ入るがいい。拒められる立場なのか?薄汚い貴様らが……」
「いいえ…拒む気なんてありません」
シアンの背後に回った副官が彼の逃げ道をふさいだ。
他に選択の余地は無く、シアンは扉に右手を付ける。
ギイ.....!
.....
「やめろよぉぉぉ……!! もお、やだ
やめ、やっ‥‥ッ だ、ああ!やめてえ‥‥//」