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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第10章 狂宴
だから、仕方がなかった。
「……ッ」
シアンは連中の輪の中に飛び込んだ。
突如現れた彼に見物人達が気を向ける前に、シアンは誰のか知らないクルチ(三日月刀)を床から拾う。
鞘にささったそれを右手に持ち、ウルヒの背後から近付いた。
「は!?……おぶっ!」
「どけて下さい…!!」
狙った膝裏を押すように叩けば、呆気なくウルヒは背面に倒れた。
オメルの後孔から肉竿が抜け、ドサリと尻もちを付く。
「…っ…な、な、……お前……!!」
「──…」
「──ヒッ」
シアンが、クルチの鞘を床に落とした。
そんな彼に冷たい目で見下ろされ、思わず怒鳴ろうとしたウルヒの声が喉で止まる。
見物していた兵士達は、それまで弛めていた顔を一気に緊張させて各々の武器に手を添えた。
「‥ヒッ、ング‥ッ‥…?‥‥シ、‥ア ン‥‥?」
狂乱の無限ループから突然解放され、霞んだ視界にシアンを見たオメルが朦朧(もうろう)と呟いたが……
今はオメルを気にかけられる状況じゃない。
ひとつでも間違えれば…彼は即座に切り殺される。
シアンは決して隙を見せぬよう、平静を保ち彼等に相対した。
「──…今から僕を、抱きたい男(ひと)はいませんか」
つとめて丁寧な口調で、かつ、相手を牽制する。
「僕は……上手いですよ」
「…!?」
「そこの少年とは違います。簡単に音(ね)を上げることもありませんし、壊れにくく丈夫です。……興味のある方はいませんか?」
誘惑の微笑みは必要ない。彼は相手を誘っているのでは無いからだ。
「……誰もいないのですか?」
「…な…に言ってる……お前…っ…いきなり」
「貴方ですか?」
「えっ、いや…っ」
ひとりが声を出せばすかさず標的とさだめ、話し終える前に問いかける。僕を抱くのは貴方かと。
「俺はべつに…!」
「貴方でないなら……他の誰ですか」
「貴様っふざけるな!さっさとその武器を捨て──」
「何を怯えているのです?」
「お、怯えてるぅ!?」
「僕が怖いですか?……まさかそんな筈がありませんよね。僕のようなクルバンは貴方達の足元にも及びません。この身体を使って奉仕するしか脳のない……最底辺の生き物だ……
……だから」