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謀殺された王子は 復讐者として淫らに返り咲く
第10章 狂宴

 しかし、そんな彼の手淫を妨げる者が出た。

「調子にのるなクルバン!」

「──…!?」

 食堂に鳴り響いた怒号の後、シアンの身体は乱暴に突き飛ばされた。



 床に転がったシアンが顔を上げれば、眉間に縦筋をいれた副官が息を荒らげて立っている。

「もう我慢ならん!貴様にこれ以上好き放題させてやるものか…!」

「…っ…なに か、問題ですか?貴方がたの望みどおりに僕は動いたまでですが…!?」

「我らの望み……!?──…ふ、ああそうだな…。貴様はクルバンとしてなるほど素質があるらしい」

「……」

「ならばこの私がクルバンが何たるかを叩き込んでやろう。貴様が調子にのらぬようしっかり教育してやる…!」

「……では貴方が僕の相手を?」

「……そうだ。私が相手だ」

「承知、しました」

 何が教育──。お前も所詮は下卑た欲に支配され、毒される側の人間だ。

 副官の男に近付いたシアンが、足に擦り寄ろうとする。

 だが腰巻を解こうと伸ばした手は、強めに払われてしまった。

「私に触れるのは許さん」

「触れなければ何もできませんが」

「そうでもない」

 擦り寄る彼から距離をとって後退した副官に向け、僅かな戸惑いを見せたシアン。

 しまったと痛恨(つうこん)した彼が表情を曇らせた瞬間

 副官に命じられた数人が彼を取り囲んだ。

「──…押さえつけろ」

「は!」

 だいの男達に四方から手足を捕らえられ、仰向けにひっくり返された身体を持ち上げられる。

「さっさと衣服も剥ぎとれ!ネズミにはすぎた物だ」

 その間、副官は床に転がったクルチを拾い上げ、まだ動けないでいるウルヒへ冷たく言い放った。

「貴様が犯されてどうする?この役立たずが」

「ふ、副官っ、そういうなよ…っ」

 そしてウルヒと位置を入れ替わると、脚衣をズタズタに裂かれて拘束されたシアンへと相対した。

 シアンの白い肌が多くの見物人の前に晒され、無毛の局部を隠す隙も与えられず、股を開いた無様な格好に固められている。

「…いいザマだ」

「……」

「何も言わぬのか?」

 厳しい顔で唇を引き結ぶシアンに対して、副官は残酷に口の端を歪める。

“ やっと…あの澄まし顔が崩れてきたか。いいぞ、貴様の正体を暴いてやろう ”

 他の近衛兵は静かに注視していた。


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