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不倫白書 Ⅰ
第1章 初めての不倫…
 3

 そして勿論、二人目の男性経験が夫であり…

 しかも…

 今夜初めて知ったのだが…

 夫のセックスは淡白で、味気なく、おざなりで、これまた短時間のセックスであったという事を。

 いや、初めてそれを自覚をし、ううん違う…
 知ったのだ。

 なぜならば…

 今夜抱かれた、いや、抱かれている人生で三人目の、この今、わたしにキスしてきているこの男のセックスは…

 わたしのセックスという概念を根本的に変えた…

 いや、初めてセックスで深い快感を…

 絶頂感を与えてくれ…

 今までの、いや、夫とのセックスがいかに淡白で、おざなりであるかを教えてくれたのである。

 だからわたしは、この彼にもたらされたセックスの快感の強さと良さに、一瞬、パニックになってしまったのだ…

 それは…

 セックスって、こんなに感じるモノなのか…

 こんなに気持ちが良いモノなのか…と。


「あ、や、うん、んん…」
 わたしはキスを受けながら、更に昂ぶる子宮の疼き、震えに…

 困惑と…

 また感じたい、という思いに全身を震わせていた。


「ね、ねぇお姉さんの名前は何ていうの?」
 今になって彼は、ようやくわたしの名前を訊いてきたのだ。



「ぁ、あぁ…わたしは…ま、マリよ…」
 そう、わたし達はこの時まで、お互いの名前さえも知らなかった。


「ふぅん、マリさんかぁ…
 あ、オレはリョウ…」

 そしてまだわたしは完全に…

 全部を脱いではいない…




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