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不倫白書 Ⅰ
第1章 初めての不倫…
 7

 そして、そんな心を昂ぶらせたままイタリアンレストランで食事をし、ワインを少し飲み…
 更に映画の話しをしていく。

 本当に彼の話術は巧みであり、声音や口調がわたしの耳に心地よく…
 そして映画の趣味も合う事が分かり、楽しい会話に心が弾んでしまっていたのである。


 それに夫やパート先でも、殆ど会話というモノが無かったから…
 
 本当に他人とこんなに話したのが久し振りでもあったから…
 すっかり彼の話術に、魅かれてしまっていたのだ。

 それにもう一つ…

 久し振りに飲んだワインの、いや、アルコールの酔いも心地良く…
 心の警戒が、完全に緩んでしまったのであった。

 そして…
 気付くと彼の足が、わたしの脚に触れ、ゆっくりと絡んできていたのだ。

 だがそれさえも心地良く、その絡んだ足を外す気持ちは起きなかった…

「ねぇ、このレストランの前のビルの地下にバーがあったんですよ…
 行きましょうよ…」

「え、そうなの?」

「はい、さっき見たんです」

 わたしは気付かなかった…

「それに今夜は旦那さんは出張だから…って言ってましたよね?
 行きましょうよ…」

「え?」
 
 わたしはつい、彼との会話の中で、そんな事まで話してしまった自分に改めて驚き、戸惑いを感じてしまっていたのだか…
 
 楽しいのだ…

 とにかく彼との会話が愉しいんだ…

 そして…

 こんなに楽しく、愉しいのは久し振りであったのだ…

 もっと彼といたい…

 話したい…

 すっかり彼との歳の差や、ナンパという警戒心は無くなっていた。


「うん…」

 わたし達はイタリアンレストランを出て、向かいのビルの地下のバーに向かう…
 
 そしていつの間にか、わたしは彼に肩を抱かれていた…

 みたいだった…





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