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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 ふいに、お都弥の黒い瞳から大粒の涙が零れ落ち、嘉門を慌てさせた。
「どうした、やはり、迷惑だったのか」
 咳き込んで訊ねると、お都弥は首を振った。
「違います。これは、嬉し涙です。このようなものを頂けるなんて、考えたこともなかったので、私、嬉しくて」
「なに、女というものは面妖だな。哀しいときだけでなく、嬉しいときにも涙が出るのか!」
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