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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 道場の行き帰りにここを通るのだとは、以前に話している。
 お都弥の声に、嘉門は我に返った。
 どうやら、自分でも刻の経つのを忘れていたようで、束の間の語らいのはずが随分と刻を過ごしてまったようだった。
「申し訳ない、また、次の機会に」
 嘉門は小さく頭を下げ、踵を返した。
 知らぬ中に小走りに駆けながら、心では道場でひと汗流しての帰りには、またあのお都弥の笑顔を見られることに心躍らせていた。
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