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さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~
第3章 弐
 ところが、である。
 今日の嘉門は不機嫌だった。が、道場で思いきり剣を振り回し、花やの前まで帰ってくると、いつしか心が嘘のように凪いでくるのが自分でも判った。
 嘉門の顔を認めたお都弥の表情が、花がほころぶようにやわかくなる。
 嘉門の想い人は、今日も同じ場所に座っていた。
「今日は絵蝋燭を一つ貰えぬか」
 嘉門が珍しく店の中にまで入ってきたのを見て、お都弥は眼を見開いた。
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