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僕のとなり
第3章 バイト
森山優真は僕を見てこう言う。

「本当に怪我がなくて良かった…掴まれた手は大丈夫か?」
「はい、ちょっと痛かったけど大丈夫です」

僕はちょっと照れ臭かった。
男に絡まれて男に助けられるなんて、なんて自分は軟なんだろう。

そう、思ってしまった。
どうやら森山さんはいつもの様にカウンターで飲みながら夕飯を食べていた様だった。

年齢は僕とそんなに変わらないように感じた。
森山さんは、僕の様子を見ると安心してまた自分のカウンター席に戻った。

店内の騒めきは例の40代の客が帰ると平常に戻っていった。
どこのテーブルでも何事もなかったかのように人々はお喋りを始めた。

僕はまた店長の佐藤さんに呼ばれる。

「ちょっとした騒ぎになったな…」
「すみません、でも、僕は悪いとは思っていませんから…」

「ま、松崎は可愛すぎるからな…男にも好かれるんだよ…」
「そんな言い方やめてくださいよ…」

僕はこの話で少しムカついてしまった。
確かに僕は男性からも声を掛けられる事は多かった。

でも、僕は女の子じゃない。
ちゃんとした男子だ。

店長から言われたことに納得がいかなかった。
そんなことを考えながらもまた仕事に戻ることにした。

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