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僕のとなり
第5章 日曜日
そのホールには信者さんが描いた絵画などが飾られている。
教会の婦人会の人たちが作ったクリスマスカードや多目的カードなども販売されている。
そのホールの先に、また扉があって、その扉を押して入ると礼拝堂に入る。
礼拝堂に入ると真正面に大きな十字架が直ぐに目に留まる。
その十字架の姿は室内のライトに照らされてとても美しいと僕は思っていた。
十字架の下には左にはオルガンがあり、右側には教壇がある。
オルガンに合わせて讃美歌を唄い、教壇では牧師先生が毎週お説教をするのだ。
僕は月に1回程しかお説教は聞かないけれど、毎回話を聞いていると眠くなってしまう。
そんな時はいつも横に座っている佳代子にわき腹を指で突かれて起こされるのだ。
今日も教会のホールに入ると、佳代子ととても仲が良い教会員の加藤晃が声を掛けてくる。
加藤さんの年齢は35歳くらいで独身だった。
「佳代子さん、薫くん、おはようございます」
「加藤さん、おはようございます。今日もよろしくお願いしますね」
佳代子はそう言うととても嬉しそうだった。
礼拝は毎週日曜日、朝の10時半から執り行わられる。
その10時半になるまでは、皆、お互いに挨拶しあい和気あいあいとした雰囲気になる。
僕は、まだ洗礼は受けていない。
佳代子は洗礼を受けるかどうかは僕自身が決める事だからと言う。
僕はまだ洗礼を受けたくなかった。
ひとつの宗教に囚われるのが嫌だったのだ。
別にキリスト教会が嫌いなのではなかった。
もっと沢山の他の宗教を知ってみたかったのだ。
そんな理由から僕は洗礼をまだ受けていなかった。