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僕のとなり
第10章 真央
「真央さんの自宅じゃない方がいいんだけど…」
「なんで?」
「それはちょっとLINEでは話せないよ…」
「そう、なら駅前の喫茶店はどうかしら?」
「そこならいいね、じゃ、土曜日の何時にする?」
「そうね、お昼頃にしない?」
「いいよ、分かった、喫茶店で待ってる…」
「分かったわ、じゃ、またね…」
こうして、土曜日の昼頃に真央の家の最寄り駅にある喫茶店に行くことになった。
土曜日が来ることを少しばかり気が重たく感じていたことは言うまでもなかった。
土曜日は僕の心とは裏腹に物凄くお天気が良かった。
僕の心は落ち着きがなく、曇り空で今にも雨が降って来るんじゃないかと思う程だった。
僕は、喫茶店に入るとなるだけ人目に付かない席に座った。
話しが話だけに他の人には聞かれたくなかったのだ。
自分の腕時計を見ると時刻は11時45分だった。
もう直ぐ、真央がやってくるだろう。
僕の心臓はまた別の意味でドキドキ、バクバク言い出した。
喫茶店のドアが開く音がして、ひとりの女性が入って来た。
その女性は誰かを探している様だった。
僕を見つけた。
手を振ってくる。
僕も軽く手を振った。
「お待たせ、随分と奥まった席にいたのね?」
「うん、余り、人が多いと嫌だったからさ…」