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好きになったら止まらないっ!
第1章 私の王子様
 1時間もすると、司は酔い潰れてしまった。耳まで真っ赤になって、六花に寄りかかっている。六花が意図的に酔い潰したわけではなく、彼が勝手に飲みすぎてしまったのだ。
「よく分からないけどラッキー♪」
 六花は司を席に座らせたまま会計を済ませると、彼をおぶってホテル街へ消えていく。司とは10センチ以上の身長差があるが、幸せの重みと思えば、苦ではない。

 部屋に入ってベッドに寝かせても、司は起きない。六花がシャワーを浴びて戻ってきても、彼は穏やかな寝息を立てている。
「ふふ、カワイイ♡」
 司の寝顔を何枚か撮ると、彼の服に手をかける。既成事実を作り、離れられないようにしようという魂胆だ。

「司くん、きっと体も綺麗なんだろうなぁ」
 ベストとワイシャツのボタンをはずし、はだけさせていく。陶器のように滑らかな胸元には、信じられないものがある。
「あれ……!?」
 白いブラが、薄い胸を覆っている。

「女装趣味? っていうか、えぇと、変態さん……?」
 ここでようやく六花の理性が戻ってくる。いくら理想的な男性相手だからって、自分の行動は明らかに度が過ぎていた。何より、希少価値のあるイケメンのパンドラの匣を開けてしまった罪悪感が重くのしかかる。

「と、とにかく戻さなきゃ!」
 司の服を直そうとワイシャツを中央に寄せると、彼は小さなうめき声をあげて、目を覚ました。
「六花、ちゃん……?」
 焦点の合ってない目で何度かまばたきをすると、脳が起きてきたのか、目を丸くして六花を見上げる。彼の目は自分の胸元へ行く。

「!?」
 司は言葉を発する余裕もなく、両手で胸を隠す。その動作は、女性のソレだ。
「あ、あの、ごめんなさい……。わた、私……!」
「もしかして、僕のこと、男だと思った?」
 司は起き上がって座ると、苦笑する。
「はい、あの……。司さんのこと好きになっちゃって、既成事実、作っちゃおうって……」
「あはは、君って正直だね。ホント面白い。悪いけど、水取ってきてくれる? 寝起きだし、飲みすぎちゃって動けなくて」
「はい」
 六花は勢いよくベッドから降りると、コンビニボックスで水とお茶を買い、水を司に差し出す。
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