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君とセカンドラブ
第9章 明日香の危機
グループの三人は喋り疲れたのか
すでにスースーと寝息を立てて眠ってしまっている。
『やだ…私、こんなに修学旅行が楽しいものだと思わなかったわ』
行きたくないと駄々をこねていた明日香の尻を叩いて、無理やり送り出してくれた義兄の遼太に明日香はお礼を兼ねて、明日は清水寺のお土産をたくさん買わなきゃと考えていた。
そんなことを考えていると
ますます興奮してきて眠れそうにもなかった。
『お風呂に行ってリラックスしてこようかな…』
この旅館の大浴場は24時間いつでも入浴が可能だと、部屋に案内してくれた仲居さんが説明してくれていた。
「この時間なら、誰も入浴していないし、貸しきり温泉みたいなものよね」
そう思うとますます大浴場に行ってみたくなる。
爆睡している三人を起こさないように
タオルをバッグから取り出して
明日香は静かに部屋をでた。
露天風呂はライトダウンされていて
夕食を済ませた後に優香里たちと入浴した時と違って立ちこめる湯気が幻想的だった。
『なんか風情があっていいな…』
こんな感覚になるってことは
やはり私の体には半分だけ日本人の血が流れているんだと実感させられてしまう。
そんな閑静な雰囲気をぶち壊すように
隣の男性露天風呂から賑やかな声が響いてくる。
「お~!貸しきりじゃん!」
「泳いじゃえ!泳いじゃえ!」
「隣の女風呂覗いてみようかな?」
「バカ、こんな夜中に誰も入ってねえよ」
この声は…
クラスでも素行の悪い四人組だわ…
育ちの悪さが会話の中にも溢れているわ…
明日香はムードをぶち壊されて苛立った。