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君とセカンドラブ
第10章 こんな俺で良ければ
互いにシャワーを浴びあい、
セックスの名残をきれいさっぱりと後始末して
身なりを整えてキッチンでコーヒーを飲んでいると
「ただいま~」と元気な声がして明日香が家に飛び込んできた。
「お帰りなさい…早かったのね」
連絡してくれたら駅まで迎えに行ったのにと
取り繕うように葵は普段と変わらない素振りを見せた。
遼太は内心ドキドキしていた。
セックスの痕跡は残っていないだろうか?
部屋に男と女の淫らな匂いが残っていないだろうか?
もう少し明日香の帰宅が早ければ
一緒にシャワーを浴びる男と女の姿を見られるところだったと、まともに明日香の顔を見ることが出来なかった。
「お母さん、これ、お土産よ」
屈託のない笑顔で
明日香はバッグから包装紙にくるまった小箱を葵に差し出した。
「まあ!嬉しい!
何かしら?」
「京都の扇子よ
お母さんが和装しないことは知っているけど
扇子なら普段でも使えるでしょ?」
早速、包みを解いて扇子を取り出してみると
いかにも京都らしい舞妓の後ろ姿のデザインが施してあった。
それを羨ましそうに見つめる遼太に気づくと
「お兄さんにも買ってきたわ」と
かなり大きな包装紙に包まれたものをくれた。
『あの無愛想な子が遼太にプレゼントだなんて…』
屈託のない笑顔を見せる明日香に
この家に嫁いできて正解だったのかもと
葵は心の中で喜んだ。
おまけに遼太をちゃんと「おにいさん」と呼んだことに葵は感激した。