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君とセカンドラブ
第14章 招かざる客
慌ただしく準備をして
父の誠一、継母の葵、そして明日香の三人が家を飛び出して行った。
父の誠一からは「父さんの顔を立てるつもりで葬儀だけでも顔を出してくれないか」と頼まれたので
「仕方ないなあ…じゃあ、葬儀時間と場所が決まったら連絡してよ」と一応社交辞令のように返答した。
『僕なんか行っても仕方ないだろ』
だって、葵さんの親戚関係なんて誰も知らないし、
いちいち挨拶するのも面倒だから、行くと返答したもののすっぽかすつもりだった。
さて、今夜は久しぶりにピザでもデリバリーするかな…
ピザ屋のホームページから
どのピザにしようかと悩んでいると
部屋のインターホンが鳴った。
『忘れ物かな?』
いやいや、そんなはずはない。
父たちならわざわざインターホンを鳴らさずとも
鍵を持っているんだからさっさと鍵を開けて入ってくるだろう。
「よっこいせ」
遼太は重い腰をあげてインターホンの応答ボタンを押した。
『すいません…こちら、椎名さん…椎名誠一さんのお宅で間違いないでしょうか?』
標準語を使いなれていないのか、
少しばかりイントネーションが変だった。
「ええ、そうですけど…
あの…どちら様ですか?」
『誠一さんに星羅が来たと言ってもらえればわかると思います。秋田の星羅です』
せいら?変わった名字だな…
どんな字を書くんだ?
いや、それとも姓ではなくて名前かな?
インターホンの画面に映る「せいら」と名乗る女性は、秋田から来たと言っているだけあって、明日香のように透き通るような肌が印象的だった。