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君とセカンドラブ
第15章 喪服の女

「お邪魔でなければ…」

誘いにのってくれたことで
真弓は、ぱぁっと神妙な顔つきから笑顔をのぞかせた。
笑うと、やはり葵と血縁関係にあるからか、
葵をぐっと若くしたようで、顔つきもよく似ていた。

「それじゃ、ウチの家族にも泊まるように説得してみます」

「違うの。君だけをお誘いしているのよ」

せっかく葵や明日香に会えたのだから
積もる話もあるのではないかと思ったのだが、
どうやら真弓は遼太だけを招きたいようだ。

「えっ?僕…だけですか?」

社交性のない遼太は自分一人が知らない縁者の家に泊まることに戸惑った。

「ほら、葵おばさんのとこもそうだけど
ウチの家系って女系なのよ
男の子がいないから君とは仲良くやっていきたいのよ」

ねえ、いいでしょ?泊まっていってよ…

そう言って手を握られると
イヤだとは言えずに渋々了承した。

父の誠一に真弓の家に泊めてもらうことを話すと
「そうか、うん、そりゃあいい。
ウチも葵の方も血縁者は少ないんだから
親類の親睦を深めるのはいいことだ」と
酒を呑まされて、すっかり上機嫌になった誠一は殊更に喜んでくれた。

新横浜の駅で両親と明日香に別れを告げて
遼太は真弓の車に乗り込んだ。
真っ赤なスポーツカーなので喪服姿の真弓とは釣り合いが取れない。
「派手な車でしょ?お葬式に出掛けるには不釣り合いよね」
場にふさわしくないということを真弓もわかっているのか、早く家に帰って喪服を脱ぎたいわとポツリと言った。
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