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君とセカンドラブ
第1章 新しい家族
「食前酒でございます」
あらかじめコース料理を予約してあったのか
ボーイが頃合いを見計らって梅酒をテーブルに置いた。
遼太は未成年ではあるが
梅酒なら田舎のばあちゃんが自家製梅酒を作っていて、子供の頃から飲み慣れているので
訳のわからない女性たちと相席になった動揺を落ち着かせるために一気に梅酒を喉に流し込んだ。
僕と同年代らしき女の子は
「すいません、アルコールは飲めないでジュースにしてください」とボーイにチェンジを願い出た。
グラスになみなみと注がれている訳でもないので
そんな事を気にせずに一気に飲んじゃえばいいのにと遼太は下げられていくグラスを目で追った。
「遼太、改めて紹介しよう…
彼女は葵さん、山中 葵さんだ」
「葵です、今夜はお招きいただきありがとうございます」
葵と紹介された三十路の女性は
父の誠一に送る艶やかな眼差しと違って
遼太に親愛を込めた眼差しを注いでくれた。
「隣で無愛想な顔をしているのが
私の一人娘…」
「ジェシカよ」
父の誠一と遼太を一瞥すると
紹介される前に自ら名乗り出た。
「娘さん?」
「ええ、この子の父親はアメリカ人で
日本人の私との間に生まれたハーフなの
でも、父親の血が濃いのかどこからどうみても外人に見えるでしょ?」
なるほど、ハーフなのか…
道理で顔立ちは外人だけど、
瞳の色だけは薄い茶色の訳だ。
「それにね、ジェシカというのはミドルネームで
日本名は明日香というのよ」
「やめてよ!その名前は好きじゃないっていつも言ってるでしょ!」
こんな所に居たくないと
今にも席を立ちそうな勢いで明日香は捲し立てた。