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君とセカンドラブ
第1章 新しい家族

「まあまあ、落ち着いて…
今夜は大切な話があるんだから
今しばらく辛抱してもらえないかな?」
遼太に話しかけるときは
威厳を保ち上から目線の口調なのに
明日香をとりなす誠一の声は穏やかで
遼太は背筋が寒くなった。
「大切な話って?」
言葉の先を急かせようとしたが
父の誠一も向かいに座っている葵さんも
その話は食事を済んでからにしようじゃないかと
次々に運ばれてくる料理に舌鼓を打ちはじめた。
高級レストランのようで
味は確かなんだろうけど
「大切な話」というのが気になって
遼太は全く料理を味わう事ができなかった。
遼太の向かいに座る明日香も同じなのだろう。
料理を一口だけ食べると
すぐさまナイフとフォークを皿に置いた。
「デザートでございます」
これでフルコースのラストなのだろう。
テーブルの上にはデザートのシャーベットだけが置かれて、すべての食器が下げられた。
「で…大切な話って何だよ」
遼太はシャーベットにスプーンを突き刺しながら
そろそろ本題に取りかかってもらいたいと
先を急かせた。
「父さんは…葵さんと入籍する」
照れ臭いのか、
いつも落ち着いて話す誠一の声がとても早口で
遼太は聞き間違いかと「入籍?」と復唱した。

