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君とセカンドラブ
第6章 思春期の明日香
明日香は店を飛び出して
店先の歩道で泣きじゃくっていた。
遼太は、ゆっくりと明日香の横に肩を並べて立ち止まった。
「ん~、やっぱり夜はまだまだ冷えるねえ」
呑気そうな言葉を発した遼太を
明日香はキッと睨み付けた。
「明日香さんだっけ?
君の想いは痛いほどわかるよ
なにせ、急な再婚宣言だもんなあ」
そう言った後、話題を変えるかのように
「やっぱ、東京の夜空は星なんて一つも見えないよな」なんて、明日香を諭すでもなく独り言のように呟いた。
こいつ、バカなんじゃないの?
独り言を呟く遼太を見ていると
不思議に涙は渇れていた。
「俺さあ、なんとなく明日香さんの気持ちがわかるよ」
不意に再び自分の事を言われて
文句の一つも言えないで遼太の次の言葉を待った。
「俺も一時期さぁ、今の君みたいに
何から何まで気に食わない時があったよ
わかるよ、なんかさぁ、無性にイライラするんだろ?」
押し黙っている明日香に
ジワリジワリと歩をつめて手と手が触れ合う距離まで間を詰める遼太。
「ゆっくりでいいじゃん
お互いにゆっくりと時間をかけて家族にならないか?
まあ、一緒に暮らすにしても俺たちは俺たちでちゃんと自分のテリトリーを守りながら干渉しなくていいようにやればいいじゃん」
ダサい男だと思っていたのに
意外と大人じゃん…
遼太の言葉は思春期で荒れる明日香の胸に
ゆっくりと染み渡った。