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君とセカンドラブ
第8章 継母を口説く
父の出張と明日香の修学旅行の日がやって来た。
大きなキャリーバッグを転がす父とは違って
明日香はボストンバッグひとつだった。
「明日香、荷物はそれだけ?」
「そうよ、何か文句でもある?」
「いや…意外と荷物が少ないんだなと…」
遼太はてっきり明日香は女の子だから
着替えをいっぱい用意してトランクでも用意しているのかと思っていたのでバッグひとつというのは少なすぎるんじゃないかと思った。
「着替えの下着だけだもん
これで充分よ」
階下に降りて行くと
「明日香、今日ぐらいは朝ごはんを食べていきなさい」とカップにコーヒーを注ぎながら食べていきなさいと葵が気遣った。
「いい。コンビニでパンを買うから」
誠一と葵に顔を合わせたくないとばかりに
さっさと玄関に向かってしまう。
「もう行くのか?
じゃあ、駅まで一緒に行こうか」
誠一も気遣って食事もそこそこに席を立った。
「いい。一人でのんびり歩きたいから」
一緒に駅まで向かおうと慌てて用意をする誠一を尻目に明日香は靴を履いて飛び出してしまった。
「ふぅ…やっぱりまだまだ懐いてくれないか…」
拍子抜けしたように誠一はうなだれて再び着席した。
「あなた…ごめんなさい…
愛想のない娘で…」
葵が困った顔で誠一に詫びた。
「いや、いいんだ…干渉しないという約束だしな」
階段の上から悄気かえる夫婦を見ながら
何とか家族として一つにしてあげないとなと
遼太はどうしたものかと思案した。