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残り火
第6章 悪魔
「私と、別れたいんでしょう?」
聞いたけど、聞かなくてもわかっていた。
俊郎は返事をしなかった。
返事をしないことが、肯定の証だった。
「最後に一発やっておきたかった?」
無言の背中にいくら問いかけても無駄だった。
俊郎は自分だけ身支度を整え、
裸の私をベッドに放置したまま、
出ていってしまった。
最後まで目も合わそうとしてくれなかった。
私は大の字になり天井を見上げていた。
無だった。
なにも考えたくなかった。
光の届いていない部屋の隅の暗がりが、
徐々にその色を濃くしていき、
やがて私まで浸食していく錯覚に陥っていた。
聞いたけど、聞かなくてもわかっていた。
俊郎は返事をしなかった。
返事をしないことが、肯定の証だった。
「最後に一発やっておきたかった?」
無言の背中にいくら問いかけても無駄だった。
俊郎は自分だけ身支度を整え、
裸の私をベッドに放置したまま、
出ていってしまった。
最後まで目も合わそうとしてくれなかった。
私は大の字になり天井を見上げていた。
無だった。
なにも考えたくなかった。
光の届いていない部屋の隅の暗がりが、
徐々にその色を濃くしていき、
やがて私まで浸食していく錯覚に陥っていた。