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天空のBlack Dragon
第4章 私にできること
 "彼"が見えない人でも私が描いた"彼"なら見ることが出来る。絵だったら。そう。私が"彼"を描けばいいんだ。仕事帰りにデパートの画材売り場に寄ってみよう。



 美術関連の商品が所狭しと高く積まれた店頭の印象は昔のままだった。懐かしい思いが込み上げ、意味もなく店内を見て回る。高校生の時に、わずかな期間だけ美術部に所属していた。ここに来たのはその頃以来だから、もう二十年以上経っていることになる。
 その頃の自分は今の自分から見たら未熟な子供にしか思えない。しかし何か変わったのかとあらためて自分に問うてみたら、ただ歳を取っただけで自分という人間の本質は変わっていないと気付かされた。
 大人になる。大人になれ。よく人はそう言う。でも大人っていったい何だ。経験なのか。経験から学ぶのは処世術だ。少なくとも"彼"は私の経験値ごときでは推し量れない存在だ。

 さてどうしようか。ウロウロしているだけではらちがあかない。時間の無駄でもある。プロに聞いてみよう。

「すみません」
 メガネをかけたスタッフらしき女性を呼ぶ。
「絵の具と筆とパレットとか画材一式を欲しいのですが」
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