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天空のBlack Dragon
第4章 私にできること
「あ、はい。絵の具はいろいろ種類がございます。水彩とか油彩とか」
「ああ。そうですね」
「それで何をお描きになるのでしょう」
「ドラゴンです」
それまで愛想の良かったスタッフが急に黙った。変な空気が流れる。しかし私は変なことを言った自覚はない。
「ドラゴンを描きたいのですが絵の具は何が良いのかな」
「ドラゴン、ですか」
「ええ。ドラゴンです。黒いドラゴンです」
「ええと…」
「やっぱり水彩か。絵を描くのは久しぶりだから手軽な方がいいし」
「そう、ですね。手始めに最初は透明水彩絵の具が良いと思います。すぐに始められる初心者セットもございますから
「なるほど。じゃあそれをください」
水彩なら経験がある。高校時代の部活でも水彩画しかやらなかった。美術部にはたった一か月しか在籍していなかったから他の手法を試す余裕がなかった。それにこの歳になって今さら、という後ろ向きの気持ちもある。
アートになど興味がなかった私が美術部に入部しようなどと思い立った理由は友人だ。そいつとは中学生時代からの付き合いで、簡単にささっとうまい絵を描く男だった。私とはなぜか気が合った。同じ高校へ進学したのは偶然だ。
「ああ。そうですね」
「それで何をお描きになるのでしょう」
「ドラゴンです」
それまで愛想の良かったスタッフが急に黙った。変な空気が流れる。しかし私は変なことを言った自覚はない。
「ドラゴンを描きたいのですが絵の具は何が良いのかな」
「ドラゴン、ですか」
「ええ。ドラゴンです。黒いドラゴンです」
「ええと…」
「やっぱり水彩か。絵を描くのは久しぶりだから手軽な方がいいし」
「そう、ですね。手始めに最初は透明水彩絵の具が良いと思います。すぐに始められる初心者セットもございますから
「なるほど。じゃあそれをください」
水彩なら経験がある。高校時代の部活でも水彩画しかやらなかった。美術部にはたった一か月しか在籍していなかったから他の手法を試す余裕がなかった。それにこの歳になって今さら、という後ろ向きの気持ちもある。
アートになど興味がなかった私が美術部に入部しようなどと思い立った理由は友人だ。そいつとは中学生時代からの付き合いで、簡単にささっとうまい絵を描く男だった。私とはなぜか気が合った。同じ高校へ進学したのは偶然だ。