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天空のBlack Dragon
第1章 ある晴れた夏の日に
あり得ないはずの光景なのに、なぜかそうは感じなかった。あれはあそこにある。浮いている。その途方もない重さと熱と存在感を確かに感じる。ドラゴンの体を覆っている黒いうろこは少し赤錆びて煤けており、それが妙にリアルだ。
恐ろしいとは思わなかった。恐怖も畏怖も感じない。急に気が狂ったのでもない。意識はしっかりしている。夢を見ているのでもない。ただ、あそこにドラゴンがいるだけだ。
今日もいつものように六時に起床し、結婚九年目の妻が用意してくれたトースト中心の朝食をとり、シャツを着てネクタイを締め、妻と子供に行ってきますと挨拶してから家を出てバスに乗った。駅に着いたら急行電車に乗りターミナル駅で各駅停車に乗り換えた。会社に着いてからいつものように仕事をこなし、いくつかの決済案件を処理し、取引先へ何本か電話をかけた。昼になったら数人の部下と飯を食いに行き、いつものように午後の仕事をこなし、いつものようにちょっとコーヒーブレイクをと思い、この休憩室へ来た。そして今、窓の外に、途方もない大きさの黒いドラゴンが浮いている。
恐ろしいとは思わなかった。恐怖も畏怖も感じない。急に気が狂ったのでもない。意識はしっかりしている。夢を見ているのでもない。ただ、あそこにドラゴンがいるだけだ。
今日もいつものように六時に起床し、結婚九年目の妻が用意してくれたトースト中心の朝食をとり、シャツを着てネクタイを締め、妻と子供に行ってきますと挨拶してから家を出てバスに乗った。駅に着いたら急行電車に乗りターミナル駅で各駅停車に乗り換えた。会社に着いてからいつものように仕事をこなし、いくつかの決済案件を処理し、取引先へ何本か電話をかけた。昼になったら数人の部下と飯を食いに行き、いつものように午後の仕事をこなし、いつものようにちょっとコーヒーブレイクをと思い、この休憩室へ来た。そして今、窓の外に、途方もない大きさの黒いドラゴンが浮いている。