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東京佐川お兄さん事件 引きこもりお嬢様の誰にも言えない秘密
第4章 第4話 誰にも言えない秘密
それからは毎日お父さんから聞かされることが心配で気が気でなかったが当日はすぐに来て、お互いのスケジュールの都合でそれまでは志信さんと会うこともなかった。
朝10時ちょうどに俺の自宅マンションから車で15分ほどの所にある喫茶店に入るとお父さんらしき男性はガラガラの店内で待っていて、俺は恐縮しながら男性に声をかけた。
「あの、金丸さんですか……?」
「ええ、志信の父の金丸明です。本日はお忙しい中来て頂いてありがとうございました。どうぞお座りください」
大柄な体格に口ひげを生やしたお父さんは50代後半ぐらいに見えて、お嬢様である志信さんの父だけあって全体的に高貴な雰囲気が漂っていた。
一介のセールスドライバーに過ぎない俺は緊張しながらお父さんの向かい側の席に腰掛け、店員さんにアイスティーを注文するとお父さんに向かい合った。
「自己紹介が遅れましたが、私はこういう仕事をしています。今はこの病院で消化器外科の部長を務めております」
「お医者さんなんですね。しかも腫瘍研病院というとすごく有名な……」
お父さんが差し出した名刺には「腫瘍研究所江東病院 消化器外科部長 金丸明」と書かれていて、略称で腫瘍研と呼ばれるこの病院は東京ビッグサイトの近くにある全国的に有名な総合病院だった。
志信さんは無職女性だがエリート医師の娘さんだったと分かり、やはり育ちの良いお嬢様という印象に間違いはなかった。
「佐川さんのことは娘から直接聞いていて、娘はあなたのことをいつも配送に来てくださっていた真面目なトラックドライバーさんだと話していました。そしてその話が嘘でないことはあなたの丁寧な振る舞いを見ていてすぐに分かりました。年頃も娘と近いようですし、私としては佐川さんと娘がお付き合いすることに何の異存もありません」
「そ、そうですか。それは本当に嬉しいです……」
うちの大事な娘を宅配ドライバーなどに嫁がせられないといったことを言われるのではと身構えていた俺は、初対面ですぐに俺を肯定的に評価してくれたお父さんに拍子抜けしていた。
しかし、お父さんはそのまま真剣な表情で言葉を続けた。
朝10時ちょうどに俺の自宅マンションから車で15分ほどの所にある喫茶店に入るとお父さんらしき男性はガラガラの店内で待っていて、俺は恐縮しながら男性に声をかけた。
「あの、金丸さんですか……?」
「ええ、志信の父の金丸明です。本日はお忙しい中来て頂いてありがとうございました。どうぞお座りください」
大柄な体格に口ひげを生やしたお父さんは50代後半ぐらいに見えて、お嬢様である志信さんの父だけあって全体的に高貴な雰囲気が漂っていた。
一介のセールスドライバーに過ぎない俺は緊張しながらお父さんの向かい側の席に腰掛け、店員さんにアイスティーを注文するとお父さんに向かい合った。
「自己紹介が遅れましたが、私はこういう仕事をしています。今はこの病院で消化器外科の部長を務めております」
「お医者さんなんですね。しかも腫瘍研病院というとすごく有名な……」
お父さんが差し出した名刺には「腫瘍研究所江東病院 消化器外科部長 金丸明」と書かれていて、略称で腫瘍研と呼ばれるこの病院は東京ビッグサイトの近くにある全国的に有名な総合病院だった。
志信さんは無職女性だがエリート医師の娘さんだったと分かり、やはり育ちの良いお嬢様という印象に間違いはなかった。
「佐川さんのことは娘から直接聞いていて、娘はあなたのことをいつも配送に来てくださっていた真面目なトラックドライバーさんだと話していました。そしてその話が嘘でないことはあなたの丁寧な振る舞いを見ていてすぐに分かりました。年頃も娘と近いようですし、私としては佐川さんと娘がお付き合いすることに何の異存もありません」
「そ、そうですか。それは本当に嬉しいです……」
うちの大事な娘を宅配ドライバーなどに嫁がせられないといったことを言われるのではと身構えていた俺は、初対面ですぐに俺を肯定的に評価してくれたお父さんに拍子抜けしていた。
しかし、お父さんはそのまま真剣な表情で言葉を続けた。