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東京佐川お兄さん事件 引きこもりお嬢様の誰にも言えない秘密
第5章 第5話 精神科外来
ここ順天堂大学医学部附属江東病院で精神科准教授の|松沢《まつざわ》|十郎《じゅうろう》として週2回外来に出てくると、本当に色々な患者がやってくる。
複数ある附属病院の中でも江東病院は高齢者医療に特化しているが私の専門は気分障害や統合失調症で、一般的にイメージされるところの普通の精神科の外来を担当している。
そんな患者たちの中に、私の大学時代の先輩の娘がいる。
「前回お薬を変えてから体調はいかがですか。突然人前で取り乱したりすることはなくなりましたか」
「ええ、以前と比べると少し落ち着きました。そばで支えてくれる大切な人もできたので……」
診察室で私の目の前にいる25歳の美しい女性は|金丸《かなまる》|志信《しのぶ》さんといって、私は順天堂大学医学部医学科のラグビー部の先輩だった消化器外科医の金丸|明《あきら》さんに頼まれて彼女の主治医を務めてきた。
金丸先輩が娘の診療をあえて私に頼んできたのは彼女がかつて精神疾患に起因するとある重大な事件を起こしたからで、私の初診時に彼女はまだ21歳の女子大生でありながら精神科病院を退院してきたばかりだった。
都内の女子大を1年遅れで卒業した彼女はそれからは金丸家が財産運用目的で所有していた江東区内の高級マンションの一室で一人暮らしをしており、経過観察のためご両親も週に1回は会いに行っているとは聞いていた。
複数ある附属病院の中でも江東病院は高齢者医療に特化しているが私の専門は気分障害や統合失調症で、一般的にイメージされるところの普通の精神科の外来を担当している。
そんな患者たちの中に、私の大学時代の先輩の娘がいる。
「前回お薬を変えてから体調はいかがですか。突然人前で取り乱したりすることはなくなりましたか」
「ええ、以前と比べると少し落ち着きました。そばで支えてくれる大切な人もできたので……」
診察室で私の目の前にいる25歳の美しい女性は|金丸《かなまる》|志信《しのぶ》さんといって、私は順天堂大学医学部医学科のラグビー部の先輩だった消化器外科医の金丸|明《あきら》さんに頼まれて彼女の主治医を務めてきた。
金丸先輩が娘の診療をあえて私に頼んできたのは彼女がかつて精神疾患に起因するとある重大な事件を起こしたからで、私の初診時に彼女はまだ21歳の女子大生でありながら精神科病院を退院してきたばかりだった。
都内の女子大を1年遅れで卒業した彼女はそれからは金丸家が財産運用目的で所有していた江東区内の高級マンションの一室で一人暮らしをしており、経過観察のためご両親も週に1回は会いに行っているとは聞いていた。