この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
飴玉ひとつぶん
第1章 退屈しのぎ
「なぁ」
「んー?」
「なんであんな中途半端な感じで終わったわけ?」
 注文を終えると、肘をつきながらレイの整った顔を眺め、質問を投げかける。

「飴が溶けてなくなったから」
「なんだよ、それ」
「俺も男だからさー、最初は嬉しかったんだよ? 女の子が話しかけてくれるの」
 レイはため息混じりに言うと、ガムシロがたっぷりはいったアイス珈琲をひと口飲む。そして再びため息をついた。

「話、変わってないか?」
「変わってないよ」
 彼にとって、ガムシロ3つじゃ足りなかったのか、苦笑しながらガムシロを追加する。
「俺、寂しがりだからさ、好きな子じゃなくても、好みの顔してなくても、女の子にかまってもらえるの、嬉しかった。けどさ、俺って高級ブランドみたいなモンなんだって気づいて、冷めちゃった」
 寂しそうに視線を落とし、ストローでアイス珈琲をかき混ぜる。カラカラと氷がぶつかり合う音が、物悲しく聞こえた。

「高級ブランド? わけが分からない。お前はバッグや財布じゃなくて、人間だろ」
「感情がないぶん、バッグや財布のほうがマシかもねー」
 付喪神がいなかったらの話だけど。カラカラと、乾いた笑いと氷の音。

「こういう話すると、どうしてもナルシっぽく聞こえちゃうかもだけどさー、あの子達は、俺と付き合いたいんじゃなくて、俺の顔と付き合いたいわけ」
「は? 顔?」
「そう、顔。俺のことが好きで付き合いたいんじゃない。顔のいい俺と付き合う自分に酔いたいから、俺に近づくんだよ」
「彼女も好きな人もいたことがない俺が言っても、説得力のカケラもないと思うけど、恋愛って顔でするものじゃないだろ? 好きだから一緒に居たいんじゃないのか? そりゃ、付き合うなら自分のタイプの顔と付き合いたいだろうけど、結局性格だろ」
「キヨって毒舌陰キャそーな顔して、結構ピュアだよねー。かわい」
「男に可愛いとか言われてもきしょいだけだわ。つか、今、さらっと悪口言わなかったか」

 不服そうなキヨに笑顔ひとつ見せると、レイはストローを紙ナプキンの上に置き、グラスに口をつけて飲み干した。
 ガリッと氷を噛み砕き、ため息ひとつ。
 
/6ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ