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飴玉ひとつぶん
第1章 退屈しのぎ
「なぁ」
「んー?」
「なんであんな中途半端な感じで終わったわけ?」
注文を終えると、肘をつきながらレイの整った顔を眺め、質問を投げかける。
「飴が溶けてなくなったから」
「なんだよ、それ」
「俺も男だからさー、最初は嬉しかったんだよ? 女の子が話しかけてくれるの」
レイはため息混じりに言うと、ガムシロがたっぷりはいったアイス珈琲をひと口飲む。そして再びため息をついた。
「話、変わってないか?」
「変わってないよ」
彼にとって、ガムシロ3つじゃ足りなかったのか、苦笑しながらガムシロを追加する。
「俺、寂しがりだからさ、好きな子じゃなくても、好みの顔してなくても、女の子にかまってもらえるの、嬉しかった。けどさ、俺って高級ブランドみたいなモンなんだって気づいて、冷めちゃった」
寂しそうに視線を落とし、ストローでアイス珈琲をかき混ぜる。カラカラと氷がぶつかり合う音が、物悲しく聞こえた。
「高級ブランド? わけが分からない。お前はバッグや財布じゃなくて、人間だろ」
「感情がないぶん、バッグや財布のほうがマシかもねー」
付喪神がいなかったらの話だけど。カラカラと、乾いた笑いと氷の音。
「こういう話すると、どうしてもナルシっぽく聞こえちゃうかもだけどさー、あの子達は、俺と付き合いたいんじゃなくて、俺の顔と付き合いたいわけ」
「は? 顔?」
「そう、顔。俺のことが好きで付き合いたいんじゃない。顔のいい俺と付き合う自分に酔いたいから、俺に近づくんだよ」
「彼女も好きな人もいたことがない俺が言っても、説得力のカケラもないと思うけど、恋愛って顔でするものじゃないだろ? 好きだから一緒に居たいんじゃないのか? そりゃ、付き合うなら自分のタイプの顔と付き合いたいだろうけど、結局性格だろ」
「キヨって毒舌陰キャそーな顔して、結構ピュアだよねー。かわい」
「男に可愛いとか言われてもきしょいだけだわ。つか、今、さらっと悪口言わなかったか」
不服そうなキヨに笑顔ひとつ見せると、レイはストローを紙ナプキンの上に置き、グラスに口をつけて飲み干した。
ガリッと氷を噛み砕き、ため息ひとつ。
「んー?」
「なんであんな中途半端な感じで終わったわけ?」
注文を終えると、肘をつきながらレイの整った顔を眺め、質問を投げかける。
「飴が溶けてなくなったから」
「なんだよ、それ」
「俺も男だからさー、最初は嬉しかったんだよ? 女の子が話しかけてくれるの」
レイはため息混じりに言うと、ガムシロがたっぷりはいったアイス珈琲をひと口飲む。そして再びため息をついた。
「話、変わってないか?」
「変わってないよ」
彼にとって、ガムシロ3つじゃ足りなかったのか、苦笑しながらガムシロを追加する。
「俺、寂しがりだからさ、好きな子じゃなくても、好みの顔してなくても、女の子にかまってもらえるの、嬉しかった。けどさ、俺って高級ブランドみたいなモンなんだって気づいて、冷めちゃった」
寂しそうに視線を落とし、ストローでアイス珈琲をかき混ぜる。カラカラと氷がぶつかり合う音が、物悲しく聞こえた。
「高級ブランド? わけが分からない。お前はバッグや財布じゃなくて、人間だろ」
「感情がないぶん、バッグや財布のほうがマシかもねー」
付喪神がいなかったらの話だけど。カラカラと、乾いた笑いと氷の音。
「こういう話すると、どうしてもナルシっぽく聞こえちゃうかもだけどさー、あの子達は、俺と付き合いたいんじゃなくて、俺の顔と付き合いたいわけ」
「は? 顔?」
「そう、顔。俺のことが好きで付き合いたいんじゃない。顔のいい俺と付き合う自分に酔いたいから、俺に近づくんだよ」
「彼女も好きな人もいたことがない俺が言っても、説得力のカケラもないと思うけど、恋愛って顔でするものじゃないだろ? 好きだから一緒に居たいんじゃないのか? そりゃ、付き合うなら自分のタイプの顔と付き合いたいだろうけど、結局性格だろ」
「キヨって毒舌陰キャそーな顔して、結構ピュアだよねー。かわい」
「男に可愛いとか言われてもきしょいだけだわ。つか、今、さらっと悪口言わなかったか」
不服そうなキヨに笑顔ひとつ見せると、レイはストローを紙ナプキンの上に置き、グラスに口をつけて飲み干した。
ガリッと氷を噛み砕き、ため息ひとつ。